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いかにしてイラクから撤退すべきか
How to Get Out of
Iraq? 、Noam Chomsky、The Nation, May 6, 2004
ノーム・チョムスキー、
『ザ・ネイション』2004年5月6日
翻訳:寺島隆吉+寺島美紀子、公開2003年5月16日
真の主権委譲を!
占領軍にあるのは責任であって権利ではありません。第1義的な責任は、まず可能な限り素早く迅速に撤退することです。しかも占領された国民によって決定されたやり方で。
したがって植民地総督ブレマーによって出された命令は違法であり、無効とされるべきだということになります。それには、事実上、西側(ほとんど米国ですが)銀行や多国籍企業の管理下におかれたラク経済や15%の均一税も含まれています。この均一税などは正義からは遠くかけ離れたもので、いま死活的に必要とされている社会的支出や再建への道を妨げるものです。
経済的主権がなければ、健全な発展への見込みはわずかなものとなり、政治的な独立は形式的になってしまいます。
ワシントンは、イラク人の意志を無視して長期の軍事的駐留を画策していますが、このような長期の軍事的駐留とイラクの治安維持軍を支配する策略をやめるべきです。西側が行った世論調査にしたがえば、イラク人はイラク人による治安維持を要求しています。
これらの世論調査は、占領軍と民間の同類者(CPA)すなわち米国が任命した統治評議会を支持している数字は極めて小さなものであることを示しています。
不承不承であっても、真の主権をイラク人(それは大国支配のための伝統的な見せかけ=傀儡ではあってはなりません)に委譲するという決定をしたからには、巨大な大使館を置くためのどんな正当な理由もないでしょう。占領者=米国政府の発表によれば、それは明らかに世界の最大のものです。
そのような措置を講ずるのであれば、すなわち真の主権をイラク人に委譲するのであれば、世界最大級のエネルギー資源の中心に位置する従属国で最大の軍事基地を確立しようとする計画を放棄することが必要です。この60年間、誰にも理解されてきたことですが、それは世界支配のための強力な梃子となり、また近隣地域を米国の利益に従属させる手段ともなります。バグダッドにおける西側の調査に従うとすれば、それがイラク侵略の主要な動機でした。
その世論調査のいくつかは、イラク侵略の目標は民主主義確立か(1%)、イラク人の援助(5%)という西側の明確な意見とも一致していました。
大多数のアメリカ人は、米国ではなく国連が先頭に立って真の主権委譲だけでなく経済再建や市民秩序・治安維持のためにイラク人とともに働くべきだと信じています。
もしイラク人が同意するなら(当然それに同意するでしょうが)それは賢明な見解です。ただし責任ある主権委譲の決定は安全保障理事会よりも国連総会がより望ましいでしょう。なぜなら、国連総会は侵略者=米国によって直接に支配される度合いが小さいからです。
再建はイラク人の手中に委ねられるべきであり、彼らを支配する手段として主権委譲を遅らさせるべきではありません。
賠償は、残酷な経済制裁と軍事行動によってイラクの市民社会を荒廃させたひと=政府がすべきものであって、援助であってはなりません。彼らは他の犯罪国家(たとえば英国)と一緒になってサダム・フセインが最悪の残虐行為をしている最中もその後も彼を支持してきたのですから。ですから誠実さがあるのであれば、賠償は最低の義務です。
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