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DEMOCRACYNOW オーディオ・コメント、2004年5月7日金曜日
チョムスキーが酷評、ブッシュによるネグロポンテのイラク大使任命
原文: On Negroponte's Appointment to Iraq Embassy.
翻訳:寺島隆吉+寺島美紀子、公開2004年5月14日
木曜日、上院は95対3でジョン・ネグロポンテをイラクの新米国大使館の長官として承認することを投票で決定しました。ロサンゼルスタイムズによれば、アイオワの上院議員、民主党員トム・ハーキンただ一人だけが、ホンジュラス大使としてのネグロポンテの記録がイラクにおいて国家の代表者として不適切だと述べました。
ホーキンは「死の部隊」について大統領や議会に嘘をつく人物=ネグロポンテを告発しました。「死の部隊」は184人の失踪に責任があり、そこにはアメリカ人司祭も含まれておりました。その間、ネグロポンテはホンジュラス駐在大使だったのです。
ホーキンは言いました「ネグロポンテ大使は、ホンジュラスでの人権蹂躙に対して見ざる聞かざるの態度を取っていました。ネグロポンテ氏をイラクに送ることになれば、この時期に全く誤ったメッセージを送ることになるでしょう。」
民主党員マーク・デイトン(ミネソタ)とリチャード・ダービン(イリノイ)も同様にネグロポンテの指名に反対投票を行いました。
ノーム・チョムスキーは、マサチューセッツ工科大学の言語学教授で『ヘゲモニー&サバイバル:アメリカの世界支配の追求』をはじめとする本の著者です。2004年4月29日には、ケンブリッジ・フォーラムで講演しました。
エイミィ・グッドマン:
ジョン・ネグロポンテが米国のイラク駐在大使として、L・ポール・ブレマーに取って代わるということが承認されたばかりです。そこで、そのことについてノーム・チョムスキーの意見をお伺いします。ノーム・チョムスキーさんは、ちょうど先週ケンブリッジ・フォーラムでお話をお伺いしたばかりです。
ノーム・チョムスキー:
もしメディアを更に詳しく調べれば、中東に民主主義をもたらすというブッシュの救世主的な見解に関して深刻な記事を実際たくさん見つけることが出来るでしょう。
ここにひとつ、「ウォールストリートジャーナル」からのものがあります。それは2−3日前の、非常に博識で腕利きの記者、カーラ・アン・ロビンズによるものです。まさにネグロポンテ氏に関するものです。
そうです、エイミィがメディアについて言っていたことにまさしく反撃するために、記者たちはネグロポンテ氏について記事にするというわけです。もしあなたが「ウォールストリートジャーナル」のような右よりの新聞のところに行くなら、そこでは彼らは信頼できる聴衆を持っているので、他では読めないような類のことを記事にして送っているのです。
サブの見出しはこうです。「現代の熟達した執政官、ネグロポンテには裏に隠された任務がある」。その文章は次のように言うところから始まっています。
1980年代のホンジュラス駐在大使としてネグロポンテは、植民地時代の強力な行政官に与えられた称号:熟達した執政官 the pro counsul として知られていた。今や彼はイラクで全く同じ役割を演じるように選ばれた。ペンタゴンがいわゆる「主権委譲」を想定しているからである。
ただし、ここには一つの問題があります。米国が主権の全面委譲をした後、ペンタゴンがイラクを統治するのか、現代の熟達した執政官=ネグロポンテがホンジュラスを運営したやり方でイラクを運営するのか、という問題です。
偶然の一致かどうか分かりませんが、ネグロポンテ任命が発表された1−2日後、ホンジュラス政府はイラクから軍隊を撤退させました。兵はそんなに多くはなく、3−40人だと思いますが、それは偶然の一致なのか、あるいは恐らくホンジュラスで起きたことの幾つかを思い出したのかもしれません。エイミィが冒頭で話していた類のことです。
彼は実際よく仕事をこなしました。彼はホンジュラスで、これからイラクで運営していくことになるものとは同じではないにしても、かなり大きな大使館を持っていました。ホンジュラスは、ご存じのように、世界的強国の一種の要石になっているところであり、彼はそこで1000人をかかえる巨大な大使館を持っていました。
彼は巨大な大使館を持っていたのです。それは世界最大の米国大使館の一つで、また世界最大のCIA支局があるところでした。ですから、明らかに、CIAが情報を集中させるための極めて重要な場所でした。
その地で彼には2つの仕事がありました、と記事は説明しています。ひとつは、ホンジュラスが治安部隊を動かし拷問や大虐殺などを行っているという事実に、議会が動転しないよう予防線を張ることでした。エイミィが冒頭で話していた「死の部隊」316大隊のことです。
軍事援助がホンジュラスに届き、彼が自分の主要な仕事を行うことができるようにするため、彼はそれらを否定しなければなりませんでした。その仕事とは、もちろん、ホンジュラスのコントラ・キャンプを監督することでした。そこからCIAの傭兵がニカラグアを攻撃していたのです。それは小さな問題どころではありません。
ホンジュラスに基地を置いた米国のテロ戦争によるニカラグアでの死亡者数は、人口で比較すると、米国での死者約250万人に相当するでしょう。それは米国史上における戦死者総数よりも高い数字であることが分かります。南北戦争をも含めてです。
ですから、ニカラグアの見地からすれば、これは小さな事件ではありませんでした。それによって民主主義の確立が導きだされたことになっているのです。頭に後から銃を突きつけて、ブッシュが彼らに警告したのです。「お前たちが我々米国の推す候補者に投票しない限り、このようなことが続くぞ」と脅迫したのです。
これがブッシュ1世です。ニカラグア人は米国の候補者に投票し、それに対して米国からご褒美をもらいました。絶大なる賞賛が米国で起こりました。そして『ニューヨークタイムズ』は大見出しでこう言いました。「アメリカ人は喜びで一丸となった。」まるで北朝鮮の類です。「米国のフェア・プレイに対する勝利に対してアメリカ人は喜びで一丸となった」。
ご存じでしょう、それが起こったことのほとんど全てなのです。それ以来、米国がニカラグアを再び接収して以来、ニカラグアは半球でハイチに次ぐ第2の最貧国に転落しました。ニカラグアは2番目なのです。しかし、もう一つの偶然の一致かも知れませんが、ニカラグアの2歳以下の子供達の約60%は、いま栄養失調によるひどい貧血に苦しんでいます。それは、ほぼ確実に永久的な脳障害をもたらします。
ですから実際に働いている労働力の半数は国外からのものです。そこでは生き残る方法がないからなのです。しかし、『ウォールストリートジャーナル』は、いつも定期的に、これを経済的奇跡と書きたてています。そこでは欲しいものは何でも買えるからです。それは確かに事実です。24時間営業のモールがあって、人々は何でも買えるのです。コンピュータやたくさんの大きなものも買えます。そこは、退職したアメリカ人が行く素晴らしい場所です。彼らはすばらしい大邸宅で非常に安価な暮らしができるのです。
しかし2歳以下の子供達にとって、彼らの将来は永久的な脳障害なのです。そしてそれが民主主義の勝利と呼ぶものの実態なのです。これを見れば、ホンジュラスででの経験豊かな人物を使うことによって、イラクに民主主義をもたらすという、ブッシュの救世主的な見解が何を意味するか、十分にお分かりでしょう。
ですから、彼がホンジュラスにもたらした民主主義、あるいは現政権担当者でかつレーガン政権時代の面々が他の中央アメリカにもたらした民主主義が、どのような種類のものであったかを、これ以上、話す必要はありません。しかし私たちはそのことを忘れ去り、そのようなことは存在しなかったものとするよう、求められているのです。
エイミィ・グッドマン:
この放送は、先週、ノーム・チョムスキーがボストン、ケンブリッジで話したものでした。こちらは DEMOCRACY NOW です。後援いただいた TURNING TIDE PRODUCTIONS に感謝いたします。
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