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アメリカン・アカデミックが批判する、米国のイラク政策
American
Academic Criticizes US Policy on Iraq
Excerpts
from transcript of a radio interview with Canada AM、February 14, 2003
(翻訳:寺島隆吉+寺島美紀子)翻訳公開2003年2月23日
Key
Phrases:
パウエルは「ハト派」か、米国や他国の情報機関は何を予測しているのか、ギャラップの世論調査は何を示しているか、イラクを恐れている唯一の国とは? 武力を行使する側の立証責任とは? 「愛国心」の二つの種類とは? 査察の継続と推進はなぜ必要か
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質問:
将来のことをお尋ねする前に、できれば、ここ10日間のことを見てみたいと思います。コリン・パウエルはタカ派になりましたし、ビンラディンが話題に復帰してきています。またタリク・アジズ[イラク副首相、イラク指導部で唯一のキリスト教徒]がローマ法王と会見しました。そしてHome Depot[世界最大のホームセンター、アメリカを代表する超巨大企業]は人々にダクトテープ(粘着テープ)で各家庭の部屋を安全にする方法を教えています。この全ての意味を分かりやすく教えて頂けますでしょうか。
チョムスキー:
第1に、コリン・パウエルに関しては、彼はいつだってタカ派でしたし、タカ派のままなのです。ダクトテープに関して、ジョン・アシュクロフト[米国司法長官]が何を知っているのか私には分かりません。しかし、米国情報機関や他の情報機関が予測したところによると、イラク攻撃やイラク攻撃計画が、西側におけるテロの脅威を増加させる可能性がある、というのです。それも、かなりはっきりした理由で、つまりイラク攻撃を抑止するためか、後になっては復讐のためか、のいずれかです。
そこで、情報機関や独立的アナリストの予想は、イラクとの戦争がテロの脅威を増加させる可能性が極めて高いというものです。しかも恐らく大規模なテロです。だから、この脅威は非常に深刻に受け取られているのです。
質問: さて、もしあなたが世論調査を全てご覧になっていたら、何故この米国でブッシュ大統領がそれほど圧倒的な支持を(表面的には)受け、国際社会ではそれほど圧倒的な反対を受けているのかを、分かるようにご説明頂けるでしょうか。
チョムスキー:
ひとつには、彼はアメリカ人から圧倒的支持を受けていないということです。これは本当です。もしあなたが、たとえば国際的なギャラップ調査をご覧になればわかります。この調査は米国では報道されなかったものですが、それは非常に有益なものです。その調査は、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカの至るところで、実際に特に全ヨーロッパで、圧倒的な反対の声があることを示しています。また、それは明らかに米国と他の英語圏諸国で大きな支持があることを示しています。米国内での支持が他よりも更に高いことも。
しかし、その数字はかなり紛らわしいものです。なぜなら、米国と他の諸国との間には、もう一つ別の相違点があるからです。そして、それを勘定に入れなければならないのです。サダム・フセインは、中東地域を含めて世界中で軽蔑されています。そして全ての人は彼が地球上から消えてくれればいいと思っています。
しかし彼を恐れる国がひとつだけあります。それが米国なのです。ついでに言えば、それは9月[昨年]以来のことなのです。もしあなたが「サダムが我々米国の存在にとっての脅威である」というプロパガンダの太鼓音が鳴り響いて以来の調査結果を見れば、、それが9月に始まったことがわかるでしょう。その時以来、米国大衆のおよそ3分の2が、真剣に信じているのです。「もし我々が彼を今日止めなければ、明日には我々を殺しにやってくる」と。
質問:
ジョージ・ブッシュとトニー・ブレアがもし正しいなら、どうなるでしょか。彼らがイラクで偉大な解放者として歓迎されるとすれば、どうなるでしょうか。その時は、参戦する価値はあったとされるのでしょうか。
チョムスキー:
恐らくイラク人数万人を殺し、恐らく国を破壊して、恐らく西側でのテロリストの脅威を増加させることになるでしょう。そんなリスクを犯す価値があるのでしょうか。なぜなら、恐らくは最良の場合を想定したシナリオでなら、成功をするだろうということなのですから。だとすれば、ほとんど正気とは言えませんし、理性的行動ではありません。
暴力の使用については真に説得力のある論拠がなければなりません。暴力に依存する側の立証責任は非常に重いものです。それが個人的問題か国際的問題かにかかわらず、それは真実です。「まあ、それは恐らく上手くいくでしょう」といった議論は暴力の使用のための論拠にはなりません。
質問:
明日、数十万人の人々が、実際に世界中だけでなく、特に、この米国においても、イラクとの起こりうる戦争に抗議行動を起こすでしょう。反愛国的だと非難されているひともいるようです。ということは、もしアメリカ人が戦争を支持しなければ、その時は、「反愛国的だ」ということになりますし、もし国連が[米国の]戦争を支持しなければ、国連は「不適切だ」ということになります。だとすれば、これは、民主主義という問題全体を、米国の何処に位置づけたらよいのでしょうか。
チョムスキー: 第1に、愛国心を問題にするのはばかげています。愛国心には2種類があります。いわゆる、あなたが指導者の命令に反射的に従うというような、そんな類(たぐい)の愛国心があります。それがひとつめです。そして、もうひとつの愛国心は、自分の国や社会の人々、そのひとたちの運命、自分の孫や近所の人たち、それらに何が起こるのかを心配したり関心を払ったりすること基づくものです。それがもうひとつの愛国心です。それが分別のある賢明な愛国心です。そして、その意味で、抗議運動を行う人たちは最大の愛国者です。彼らこそ、自国の利益のために行動している人たちなのです。それを彼らは知っています。そして私もそれを知っています、全世界もそれを知っているのです。
国連が命令に従わない限り国連が「不適切」であり、ヨーロッパが命令に従わない限りヨーロッパが「不適切」である等々に関しては、それは興味深い現象です。そんなことは、英米系アメリカ人指導者の側からの、信じがたい、おそらく先例のない「民主主義への軽蔑と憎悪の表現」です。それについては、類似物を見つけるのはかなり困難でしょう。
質問:
そして彼らは言うでしょうね。「お前はどうしろと言うのだ。イラクが犯した犯罪を目にしながら、それを全て無視しろと言うのか。」
チョムスキー:
とんでもないことです。査察官がいま行なっていることを実際に正確に行なうべきなのです。そして、イラクが、完全にではなくても大方において、国連決議に従って行動してきたという事実は、それを実施し推し進める良い理由になっています。そして、他の国々によって重大な違反が行われている安全保障理事会の決議[例えばイスラエルのパレスチナ侵略にたいする非難、占領地からの撤退など]を実施する良い理由にもなります。
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