BBC
2002年2月13日水曜日13時3分(世界標準時)
トルコのチョイムスキー翻訳の出版者、
無罪放免される
写真キャプション
出版者ファティ・タス即時釈放
米国の大学教授ノーム・チョムスキーの政治的論文を出版したトルコの出版者がトルコの統一に背く宣伝をした罪で裁判に掛けられていたが無罪となった。
著者自身がイスタンブールまで来てファティの弁護のために力を貸した。ファティは有罪になれば禁固刑になるところだった。
チョムスキーはトルコ統治者が自国の言論の自由を「確立する」のを援助することを望みたいと語った。
その著書『アメリカの干渉主義』には、トルコが行なっている15年間にわたる少数民族クルド人との闘いに批判的に言及し、トルコ政府によるクルド人に対する人権侵害に手を貸しているアメリカ政府も告発している。
「クルド人に対する民族浄化」
マサチューセッツ工科大学の言語学の教授であるチョムスキー氏は、米国対外政策を激しく攻撃することでも知られている。
チョムスキー教授は、「中東における平和の可能性」という評論の中で、米国がトルコ政府に武器を供給していることを批判し、さらにトルコ政府がその武器をクルド人に対する「集中的な民族浄化」を遂行するのに使用しているとも述べている。
トルコの反テロリズム法によって裁判に掛けられていたタス氏はチョムスキー氏がここに来てくれたことが裁判所の判決に影響を与えたと述べた。
「もしチョムスキー氏がここに来てくれなかったら、私たちはこのような判決は期待できなかったでしょう。」と彼は述べた。
検察官は、「著書はトルコ国家を分断しようとしたものではないと理解できる」と述べて、被告人側弁護人の無罪要求を受け入れた。
チョムスキー氏は、検察側は「明確に正しい決定」をしてくれたと述べた。
「私はこの判決がトルコにおいて言論の自由が確立されるひとつのステップとなってくれることを望みたいし、みなさんもそう望んでいることと確信しています。」とチョムスキーは述べた。
現地特派員は、トルコがEUの一員となれるよう努力している時期に有罪判決が出れば国際的非難を引き起こしたかもしれないと述べている。
1999年、非合法組織クルド労働党(PKK)は「自治」を求める15年間の武装闘争を終結した。反政府組織アブドゥラ・オジャラン(Abdullah Ocalan)が捕えられて裁判に掛けられたからだ。その闘争ではおよそ36500人の犠牲者が出ている。
(翻訳:山田昇司+寺島隆吉)
「もしチョムスキーがここに来てくれなかったら、私たちはこのような判決は期待できなかったでしょう。」ファティ・タス
「私はこの判決がトルコにおいて言論の自由が確立されるひとつのステップとなってくれることを望みたいし、みなさんもそう望んでいることと確信しています。」ノーム・チョムスキー