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(原文はhttp://www.peacefultomorrows.org/)
9.11テロ2周年記念日についての声明
「平和な明日を求める9.11米国遺族の会」
2003年9月9日
翻訳:岩間龍男、公開2003年9月16日
2年前、米国と世界を揺るがしたテロによって、私たちの最愛の家族が悲惨にも殺されました。彼らが亡くなって以来、私たちは一人一人悲しみ続けてきましたが、世界中の人々の思慮深い思いやりのある反応によって慰められました。彼らは、このひどい攻撃の犠牲者への同情と支援を提供してくれました。しかし私たちの最愛の人々の死に対する米国政府の対応方法の多くは、一般の人々の常識的な言葉や慰めの行動とは著しく対照的なものです。この2周年記念日にあたり、私たちは危険な現在の政策の進路を深く考え、本当の安全と正義をもたらす9.11への新しい対応方法を求めています。
私たちの最愛の人々の死によって、米国政府はアフガニスタンを攻撃し、抑圧的なタリバン政府を倒しました。これは、9.11テロに責任があると考えられているビン・ラディンとアル・カイダの他のメンバーを捕らえる目的で行われたということになっています。タリバン政府転覆の軍事的努力は当初成功しましたが、ビン・ラディンは今なお行方不明です。最近の報告によれば、アフガニスタンの中央政府が[国内]安定化と再建のための資金を嘆願している一方で、タリバンとアル・カイダはアフガニスタンで復活しつつあるといいます。アフガニスタンにおける私たちの軍事行動が確実に行ったことがひとつだけあります。その軍事行動は私たちと同じような肉親を亡くしたより多くの家族を生み出しました。一般のアフガニスタン人が米国の爆撃で殺害され、クラスター爆弾で傷つけられ、戦闘によって[故郷からの]移動を余儀なくされ、それ以前の23年間の戦争の苦しみに拍車をかけました。私たちの代表がアフガニスタンに行き、肉親をなくしたそのような何組かの家族と会い、9.11の悲劇によって生み出された別の犠牲者として私たちは彼らのことを心にとどめています。
9.11テロのすぐあとに、米国議会は「米国愛国法」を通過させました。これは表向きは米国の安全を高めるためのものとされていますが、この法律の結果何が起こるのかについての検証をする十分な時間が取られませんでした。恐怖とパニックの雰囲気の中で、「愛国法」や他の施策は、基本的な米国人の市民的自由を侵害し、特に我が国の移民の人々を脅かしました。今日、米国の正義の見せかけのもとで、無名の人々が、身に覚えのない嫌疑によって、どこか分からない場所[に拘束され]苦しんでいます。さらにこれらの施策が私たちをより安全にしているという証拠が全くありません。それと同時に、米国政府は9.11事件の開かれた誠実な調査の努力を怠っています。
昨年のこの時期に、ブッシュ大統領はイラクに対する戦争の宣伝を始めるために、私たちの最愛の人々の死の1周年記念日の機会を利用しました。サダム・フセインと9.11のつながりがないにもかかわらず、ブッシュ政権はそのつながりがあるかのようにほのめかし、9.11の人々の恐怖を利用して、イラクとの不必要な戦争に我が国を導きました。それも私たちの最愛の人々の死を正当化に使いながらです。戦争を始めるための嘘の理由が明らかになる一方で、一般のアフガニスタン人やイラクの米軍兵士は苦しみ続けています。死亡者の数が毎日増え続けています。今日、私たちは死んだイラク人と戦争でのすべての死傷者を嘆き悲しんでいます。そして、私たちの軍隊の人たちの生命を危険にさらした私たちの指導者に、この誤った使命から彼らを無事に本国に戻し、国連にイラク再建の管理を引き渡すことを訴えます。
2001年9月14日、『ニューヨークタイムズ』に、私たちの会の1人が投稿しました。「私は深く傷ついたこの国が、自分では呼び戻すことができない軍隊を放つことがないように祈っている。」しかし私たちは軍隊を解き放ってしまったのでしょうか。9.11以降、米国は全世界の同情を得ました。イラクとの戦争以来、国際的な同情と支援は憎しみと絶望に変わりました。世界中で反米感情が高まっています。私たちは、テロリストを強化補充する最良の道具を提供してしまっています。
悲嘆にくれる犠牲者の家族として、恐怖や怒りの感情は、痛手からの立ち直りの当然の部分だということは分かっています。しかし、このような感情だけで行動するのは健全で建設的なことでないことを私たちは学びました。政府の9.11に対する対応は、私たちを恐怖とパニックの中で動けなくしました。それは衝撃的な9.11で私たちすべてが共有した感情です。私たちは、恐怖と怒りに基づく政策ではなく、米国国民の最善の利益で政府が行動することを要求します。世界的なテロリズムと戦争の問題を解決する時、建設的に協力し合うために、政府が国際社会に復帰することを要求します。
9・11は米国の経験の中では唯一の悲劇です。しかし、悲しい現実としては、他の国々の人々は彼ら自身の9.11を経験しています。それもいつもそんなに騒がれることなくです。平和な明日を求める会のメンバーは、世界中のそのような暴力の他の犠牲者と会ってきました。彼らは、私たちの悲しみが平和のための行動として働くよう努力する時、手本となる人々です。彼らは、子どもたちを亡くしたイスラエルやパレスチナの親たち、ケニア大使館爆破の犠牲者、中南米で行方不明になった家族たちを持つ母親たち、究極的な暴力つまり米国によって広島と長崎に落とされた核兵器による攻撃の生存者たちです。平和な明日を求める会のメンバーは、自分たちはテロを知り平和的にそれに対応してきた人々の世界の家族の一部であることに気づきました。
9.11は私たちに、人類は互いにひどい暴力を振るう能力があることを教えました。しかし、世界のどこにおいても別の9.11が起こらない世界を築くために、恐怖や憎悪を克服する能力が人間の心にあるということも、私たちに教えてくれました。個人として国家として、私たちはまさにこの希望を築き上げねばなりません。
2003年2月15日、巨大な世界的な流れが明らかになり、実際そのことは非常に疑う余地のないことだったので、『ニューヨークタイムズ』が第1面に報道しました。「世界中の路上で何百万人もの人々がイラク戦争に反対してデモをしたことは、世界にふたつの強大な力があることを証明した。ひとつはブッシュ政権であり、もうひとつは国際的な世論である。」この惑星で[戦争ではなく]ともに生きる別の方法を見つけなければならないということを知っている世界中の兄弟たちと共に立ち上がっていることを、私たちは光栄に思っています。
私たちは今日という日を、嘆き悲しみ、深く考え、思い出しながら、真の平和と安全と正義を追求する私たちにあなたも加わることを求めています。それは私たちの最愛の人々のためであり、私たちの生活に必要なものであり、次の世代のために行わねばならないことです。平和な明日の未来を築くため、ともに前進しましょう。
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