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「平和な明日を求める9.11遺族の会」とライス大統領補佐官との往復書簡
翻訳:岩間龍男、公開2003年10月2日
1.イラクについての大統領への手紙(9月23日)、2.コンドリーザ・ライスからの返信(10月3日)、3.コンドリーザ・ライスへの手紙(11月18日)
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イラクについての大統領への手紙
2002年9月23日
ジョージ・W・ブッシュ、ホワイトハウス、ワシントンDC
親愛なるブッシュ大統領
私たちは9月11日に、家族の少なくとも一人を失いました。我が国をイラクとの戦争に導こうとしているあなたの表明された意図について、私たちの重大な懸念をお伝えするために、私たちは今お便りをしています。私たちは家族を失ったことに苦しんできて、誰よりもテロを終わらせることを望んでいます。したがって、イラクによる危険から米国国民を守るために、あなたには外交的話し合いによる平和的行動をとってほしいと強く願っています。
私たちの会「平和な明日を求める9.11家族の会」は、非情な暴力によって私たちが受けたような苦痛を、世界の他のどの家族にも受けさせたくないとの思いで、この会を結成しました。イラクでの戦争は無実のイラクの何千もの家族を苦しめ、私たち9.11の家族と同じように、自分達が間違った時に間違った場所にいたのだと思うことになるでしょう。イラクとの戦争は、私たちの兵士を危険な場所に追いやり多くの死者を出し、また多くの米国の家族が苦しみを受けることになります。武力行使なしでイラクの問題を解決してほしいとあなたに願うのは、私たちの兵士やイラク市民のためです。
私たちの愛した人々の9.11追悼記念日を、あなたは死者を嘆き悲しみ熟慮するためでなく、9.11とは関係のない国イラクへの戦争を呼びかけるために使いました。このことに私たちは大きな失望をしています。イラクとの戦争は、9.11のテロの犯人を把握し裁判にかける仕事に必要なものをどこかにやってしまうでしょう。この戦争は中東地域を不安定にして、無数の罪のない人々の生命を奪うことになるのではないのかと、私たちは恐れています。更なる戦争による殺人は、テロの炎をさらに燃え上がらせ、私たちに害を与えるテロリストを容易に増やすことになってしまうでしょう。私たちは、そのことを深く憂慮しています。
イラクとの戦争は、アフガニスタンに安定と民主主義をもたらすという私たちの約束を消し去ることを、私たちは心配しています。私たちの会、「平和な明日を求める家族の会」は、今年2人の代表をアフガニスタンに送りました。その代表は、多くの普通のアフガニスタンの家族と会いました。その家族は、米国がアフガニスタンを見捨てるのではないのか心配していました。米国はアフガニスタンの再建の責任を捨てることはできないのです。不安定なアフガニスタンが、米国の私たちにいかなる影響を及ぼすのか、私たちは他の誰よりも知っています。
あなたはイラクでの戦争では、先制攻撃をし、もし必要であるならば米国一国でも軍事行動を取ると提案しています。このことについても、私たちは深く憂慮しています。密接につながりを持ち、お互いに依存しあっている今の世界で、そのことはたいへん危険な先例となってしまいます。世界の指導者としての米国の役割は、紛争を扱う時に最後の選択肢ではなく最初の選択肢として、他の国々が軍事行動を取ることを容認することであるべきだとは、私たちは思いません。
昨年私たちは、激怒からではなく、私たちが経験した苦しみを他のいかなる家族にも経験させたくないとの心からの思いで、最愛の人々の死と向き合ってきました。大統領が平和な未来の道を追求されることによって、私たちの最愛の今は亡き人々の尊厳を守ることを、私たちは強く望みます。私たちは米国が安全であってほしいと思います。とりわけ、地球上のいかなる場所でも、9.11のような事件を繰り返させてはいけません。私たちのこれらの懸念について、大統領からの返書をいただけることを期待しています。
敬具
平和な明日を求める9.11家族の会
コンドリーザ・ライスからの返信
2002年10月3日
ワシントン・ホワイトハウス
親愛なるキャンベル様
あなたと9.11の御遺族に、イラクとその軍事的先制攻撃についての見解を分かち合えることへの感謝の気持ちをお伝えせよと、私は大統領より依頼を受けました。現在米国は、世界平和と安定へのサダム・フセインの相次ぐ脅威を外交的な解決を見出すため、国連で努力をしている多くの国々の中のひとつの国であります。
私たちはあなたや嘆き悲しむ米国中のご家族、すなわち9月11日の残虐なテロ攻撃で愛する人々を失われたすべての人々と共にあります。サダムの抑圧的な指導部を終わらせ、イラクが国連決議に従い、バクダッドに大量破壊兵器を持つことを断念させるために戦争は必要でなくなることを、私たちはずっと望んできました。
サダムは平和への私たちと同じ意欲を今世界に示さねばなりません。残念ながら、彼がこの10年の間、法治と国際的に受け入れられている行動の基準に従っていないことが、私たちの懸念の理由となっています。彼の暗い前科が、大統領が次のように考える理由を明らかにしています。すなわち、もし外交努力が失敗したら、米国はその国益と基本的な自由と生き方を守るために軍事力を使うことが可能でなければならないということです。もう一度言いますが、私たちはこの強圧的な行動に進むことが不要になることを望んでいます。しかし20世紀の不朽の教訓は、譲歩や和解は悪人や暴君には効果がない政策手段であるということです。
私たちは、あなたと9.11の悲劇に苦しんできたすべての人々のことを考慮し祈りを捧げています。
敬具
コンドリーザ・ライス
国家安全保障大統領補佐官
コンドリーザ・ライスへの手紙
2002年11月18日
コンドリーザ・ライス、ホワイトハウス、ワシントンD.C.
親愛なるライス様
私たちの9月24日付けの手紙へご返事をいただきまして、ありがとうございました。あなたも大統領も大変にお忙しいことは存じ上げております。私たちは迅速な返事をいただいたことに喜んでおります。
私たちの前回の手紙の中で、あなたのご返事では十分に述べられていなかった提案されているイラクに対する戦争について、いくつかの具体的懸念について述べました。この戦争は9.11後の対テロ戦争の一部として計画されていますので、9.11の犠牲者の家族としては、私たちはこの重大な計画について問題を提起する責任があると感じております。したがって、私たちは私たちの懸念を再度繰り返して述べ、あなたと大統領とのこれらの問題の話し合いの場を設けていただけるように、謹んでお願い申し上げます。
大統領が、サダム・フセイン政権が終わるのを見たいと思っておられるのは、賞賛に値することです。フセインは暴君であり、近隣諸国や自国民に戦争をしかける意欲を示してきました。私たちはこの地域の平和を求める大統領の目標には意見を同じくしています。そして私たちは米国が国連とともに動き、戦争に訴えることなく状況に対処されていることに、安堵をしました。
しかし、私たちの家族の9.11での非業の死の後に、目的を成し遂げるために暴力を唱える人々の理論を受け入れることは、難しいことです。テロも戦争も無実の人々の死を引き起こすからです。イラクでの戦争が平和と安全の究極的な目標を達成する最善の方法であるということに、私たちは確信が持てません。その代わりにその戦争は破局的で意図していなかった結果を導くかもしれないと恐れています。
その提案された攻撃のために、米国の介入に反対する感情はすでに高まっており、さらにそれは膨れ上がってくるでしょう。イラクへの先制攻撃は、パキスタンやインド、ロシアのようなほかの国々を鼓舞して、彼ら自身の先制軍事行動が正当化されると感じさせ、さらなる戦争や不安定要因につながる可能性があります。
大統領が、イラクが他の国々に武器を使う危険を懸念していることは分かっていますが、この危険性が公平に戦争の確実性と比較検討されているのかどうか疑問に思っています。9月19日のホワイトハウスの記者会見で、アリ・フライシャーは記者たちに、潜在的な戦争の死傷者を見積もる努力を政府がしたとは承知していないと述べました。イラクとの戦争で唯一の確実なことは、米軍兵士と罪のないイラク一般市民の命を犠牲にするだろうということだけです。9.11の犠牲者の家族として、私たちは人間の命の本当の価値は無限であることを知っています。死傷者の見積もりについての大統領からの情報、そして激戦に巻き込まれたイラク人家族を直接的に助けるために政府がどのような準備をするのかを私たちは評価することになるでしょう。
私たちはまた、アフガニスタンでの私たちの爆撃作戦のために苦しんだ罪のない家族を援助するため、資金を充てるよう大統領に要求し続けてきました。支援を求める彼らの要求は満たされていません。私たちの軍事行動による罪のない犠牲者に対する必要な人道的援助は、世界世論の法廷で米国が必要としている大きな支援を勝ち取るでしょう。テロを終わらせるきわめて重要な構成要素は、米国は思いやりがあり世界中の人々の人権や福祉について関心を持っていると世界に示すことです。
我が国はまずアフガニスタンのことから始めねばなりません。その間に、普通の市民として私たちは自分たちで援助を送り続けるでしょう。
あなたの返信の中で、あなたは「20世紀の不朽の教訓は、譲歩や和解は悪人や暴君には効果がない政策手段であるということです。」と述べておられました。しかし私たちは20世紀の200以上の米国の軍事介入のもう一つの不朽の教訓は、戦争は平和と安全をもたらさないということです。
戦争の要素以外にも、まだまだ為されるべき多くのことが残っています。犠牲者の家族たちは安全情報システムの不備を修復するため、9.11の調査を今なお要求しています。国際銀行業務法はテロリストへの融資の流れを停止するために、吟味する必要があります。効果的な国際刑事裁判所の確立は、米国の支援を必要としています。核兵器や生物化学兵器は、我が国も含めてあらゆる国から除去されるべきです。通常兵器の世界の最大の供給国として、米国は不安定な政権にこれらの兵器を売却をすることをやめることによって、大きな変化をもたらすことができます。
さらに多くのテロリストが補充される前に、反米の憎悪を生み出しているかもしれない政策を再検討することがぜひ必要です。本当の米国の平和と人権の価値と一致した私たちの政策をもたらす行動を起こすことは、市民に戦争を戦うよう命じることよりさらに大きな政治指導者の勇気と英知と粘り強さを必要とします。
私たちが嘆き悲しむ9.11を二度と経験することがないようにするための幅広い計画について、私たちは大統領と議論をしたいと思っています。10月7日に大統領が国民向けに演説した時、無関係なイラクとの戦争を呼びかけるために私たちの個人的な悲劇を再び使いました。この胸痛むレトリックを終わらせていただけるなら私たちは感謝をしたいと思っています。そして私たちは大統領とこの問題について話し合いをしたいと思っています。
米国市民として、私たちは大統領を支持したいと思っています。あなたと大統領が実際にどのようにすべての平和的な施策を実行され、他の非軍事的選択肢を考慮しておられるかの詳しい説明をいただくことを喜んで受け入れます。9月11日に命を落とした人々を追悼して、これらの問題について話し合い、より安全で平和な世界を築くために協力し合うために、私たちはあなたと大統領とお会いできる機会を歓迎いたします。あなた方の都合がつき次第、私たちはいつでも話し合える用意があります。
敬具
平和な明日を求める9.11家族の会
Catherine Allison, New York
Barry Amundson, California
Ryan Amundson, Missouri
Myrna Bethke, New Jersey
Derrill Bodley, California
Sandra Bodley, California
Walt Bodley, California
Kelly Campbell, California
Debi Corcoran, Montana
Uriah Duffy, California
Yes Duffy, California
Beverly Eckhart, Connecticut
Loretta J. Filipov, Massachusetts
Dana Horning, Virginia
Talat Hamdani, New York
J. William Harris, Massachusetts
Logan R. Harris, Massachusetts
Daniel Jones, New York
Colleen Kelly, New York
Matthew Lasar, California New York
Raphael Lasar, New Jersey
Rita Lasar, New York
Valerie Lucznikowska, New York
Nancy Mangum, California
Robert McIlvaine, Pennsylvania
Kristina Olsen, Massachusetts
David Potorti, North Carolina
Jamie Sue Potorti, North Carolina
Andrew Rice, Texas
Terry Kay Rockefeller, Massachusetts
Lauren S. Rosenzweig, Massachusetts
Eva Rupp, Maryland
Melanie Salisbury, Massachusetts
Wright Salisbury, Massachusetts
Kathleen Tinley, Iowa
Beverly Titus, Michigan
John Titus, Michigan
Eli Titus, Michigan
Zach Titus, Montana
Shanoa Titus, Ohio
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